あおばちゃん物語 地球の果てに,樹れい10000年の木の精「タイボックン」が住んでました。 |
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「タイボックン」は,10000年もの間、地球を見守っていました。見わたす限り、緑がいっぱいの平野、美しい山々、動物たちが自由に遊ぶ地球が大好きでした。しかし、最近になって,地球の緑がどんどん破かいされてきたのです。しかもそれは,ほんの最近100年ほどの間のことです。緑はあっという間になくなってしまいました。それは人間のしわざのようです。 | |
人間は、大変頭が良く,自分たちでどんどん便利な道具や制度を作っていきました。驚くような便利な機械を作り、暮らしが楽になるにつれて、人間の心が変わってきました。 大昔、人間と自然を大切にし、自然を神様のように敬っていました。しかし,最近、人間の心から自然を大切にする心が消え、心もみにくくなっているのが「タイボックン」には見えるのでした。 |
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「タイボックン」は、最も豊かな国の一つ、「日本」の子供たちのことが気になるのです。自然の命をつかった料理を「きらい」「食べたくない」などと言って平気で捨てる人がいるのです。また,ものを乱暴に扱い,大切にしません。自分のものがこわれても、「また買ってもらえばいいや。」人間同士で争っている姿も見えます。 | |
「タイボックン」はなみだが出ました。そのなみだは,たくさんの粒となり、空から落ちました。 | |
なみだははじけて、光って、形が整い,葉っぱの形の妖精になりました。そのうちのひとつが、宮城県の、仙台市の、青葉区の、南吉成小の、学校の森のビオトープに落ちました。「あおばちゃん」の誕生です。 | |
ところが,地面に落ちると、あおばちゃんは弱り、葉っぱは枯れそうになっていました。あおばちゃんがくるしんでいると,南吉成小のうめの精と表れました。 うめの精は言いました。 「かわいそうに、人間のみにくい心にふれるとあなたは枯れてしまうのですね。」 「はい。争う子どもたちやマナーの悪い人間をみると葉っぱが茶色になってしまうのです。落ちてくるときにそんな、たくさんの人間をみてしまいました。」 「でも大丈夫ですよ。南吉成小学校の子どもたちのこころはくさってはいませんよ。子どもたちがよいことをするたびにあなたの葉っぱは緑色に戻っていくでしょう。」 「ほんとうですか?それなら私は生きることができます。」 「そうですね。わたしも20年も前からこの学校を見守っているけれど、子どもたちは素直で優しい子たちばかりです。でも・・・。」 |
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「でも・・・?」 「ときどき、周りがやっているからと自分でしっかりと考えずに悪いことをしてしまったり、おこられないとか、みつからないからとルールをやぶってしまったりする子どもがいるのです。」 「どんなことなのですか?」 「自分があそびたいからと人とぶつかりそうになりながら廊下を走って飛び出していったり、トイレでは自分はすんだからといってスリッパをめちゃくちゃにしていったり、落ちているごみは自分のものじゃないからといって無視していたり、言葉遣いが乱暴だったり・・・一つ一つの積み重ねで、その人の心がみえます。少しだけれどそういう人が増えているように思うのです。」 「それでは、この先わたしは枯れてしまうかもしれません!」 |
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「いいえ。人に流されルールをやぶる子もいますが、しっかりと自分で考え、元気で明るく、他人と協力できる子もたくさんいるのですよ。みにくい空気を消してくれるものの一つは、ほら・・・あの声ですよ。」 「えっ・・・」 あおばちゃんが耳をすますと遠くの方から元気な「おはよう!」「おはよう!」の声が聞こえてきました。 |
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「あの明るい声!あの声の周りは明るい空気につつまれています。あの声が南吉成を明るくしてくれるのです。」 「本当です。聞くと、ここで私もがんばろうという勇気がわいてきます。」 学校には子どもたちが集まってきて「おはよう!」「おはようございます!」の声が響き渡り、あおばちゃんの葉っぱは、きれいな緑色に戻っていきました。 「他にも、進んで周りの人の手伝いをしてくれたり、優しい言葉をみんなにかけてあげる子もたくさんいるのですよ。」 |
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「決めました。わたしも、この素晴らしい南吉成小学校を見守ります。そして、この学校の子どもたちが、いろいろなことを自分で考えてがんばれるようにお手伝いしたいと思います!」 「ありがとう。あおばちゃん。わたしもうれしいですよ。人間の前に出るのは、ときにはつらいこともありますよ。大丈夫ですか。」 「大丈夫です。私にはお父さんのタイボックンがどこかで見守ってくれています。そして子どもたちの声に勇気が出てきました!だから、これから私はがんばります!」 こうしてあおばちゃんは、南吉成のマスコットとして児童会活動や他のいろいろな活動で応援してくれることになりました。今後の活躍を楽しみにしていてください。 |